犬 と おじいさん
電子レンジであたためしてる時
その数分間の間に色々な事ができますね。
他の料理の支度をしたり 食器を洗ったり曲を聴きながらおどったり
でもね、なんだか頭がぼんやりしている時は
ただひたすら夕焼け色に光るガラスを見つめて待つのです。
中で熱にうなされて暴れるそれを見ながら、悟りを開くのです。
ごちゃごちゃとした脳内をクールダウンさせる儀式のようなものなのかもしれません。
ひたすら阿呆になるのがポイント!
チン!と鳴る頃には頭もすっきりとしています。多分。
そしてもうひとつ、そんな時にする事があります。
散歩
私は近所を散歩するのが好きで、よくあてもなく歩きます。
そういう方はきっと多いはずです。
家の割と近くにとある置物?オブジェ?があるのでそこを目指して歩きます。
(詳しく語りたい所ですが個人情報がまる見えになりそうなのでやめます)
ある日の事でした。
お昼頃に唐突に散歩し始めた私は、犬とおじいさんのペアを見かけました。
同じく散歩していたのでしょう。
犬種はミニチュアシュナウザー、顔の毛が髭のようになっていて一見2人ともおじいさんのように見えます。
実際は子犬なのかもしれませんが その時はよく分かりませんでした。
私はあまり気に留めずすれ違い、自分の歩きたいコースを進みます。
そうこうしているうちに
なんだか飽きてきたので、来た道を戻り帰る事にしました。
すると
また出くわしたのです 犬とおじいさんに。
おじいさんは岩の出っ張りに腰掛け、犬は胸元にすっぽりと収まり抱っこされています。
きっと休憩しているんだな。
そう思い なんだか微笑ましい気持ちになりながら再び通過していきました。
家に帰る迄の間、あのワンちゃんはどんなフードを食べてどんなおもちゃで遊ぶんだろう…などと想像していました。
おじいさんと共に居る姿は とても仲が良さそうに見えました。
日も暮れて、すっかり夜。
なんだか肌寒さを感じます。
家でしばらく作業をしていた私は コンビニに行くことにしました。
これだ!と思うおやつがあれば調達してこようと思ったのです。
上着を羽織り外へ出ます。
ちょっとそこまで、とはいってももう少し厚手のものを着てくればよかったな
と後悔しながら歩いていると
視界に入ったのは
なんと
居たのです。犬とおじいさんが。
もうとっくに夜だというのに まだ2人は寄り添い座っています。
全く移動していないようでした。
かなり時間も経っていたので少し心配になります。
どうしてだろう??
色々と考えを巡らせますが、2人は陽が差す時と変わらず 穏やかなオーラを振りまいていました。
絵本の中の挿絵のような雰囲気です。
そしてスローモーションのように動き出し、また歩き出そうとしているのが見えました。
あ、帰るのかな。
なんだかまだ気になる気持ちはありましたが
私は2人の背をちらりと見、横断歩道を渡っていくのでした。
あれから家に帰ったのか はたまた何処までも歩いていったのか野宿したのか
そもそも犬は飼い犬なのか 突き詰めて考えてみれば色んな可能性があります。
感じた印象で書きましたが、ほとんど何も分からないのです。
家に着いて 寒いのにアイスを食べながら、
私はまたぼんやりと 犬とおじいさんの行く末を妄想するのでした。
考え事の多い脳内をすっきりさせるには、まだ時間がかかりそうです。
オワリ
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